Sクラスのマッサージ機能に、理論的な運営を誓いました。
お得意様のご案内で、世田谷ナンバーのSクラスでご来店のお客様にお立ち寄りいただきました。
八甲田ホテルに泊まってきたよ、とのこと。
青森に住んでいる頃に、祖父とコーヒーを飲むだけに寄ったなあと思い出しながら、店内を案内しておりましたら、「こちらのコーヒーは、いつも私が飲んでいる帝国ホテルのコーヒーよりも美味しいの?」。
もちろん、飲んだことない私ですが、「お、おそらく美味しいと思います」と答えました、ハッタリで(汗)。
医師というご職業による器械関係へのご興味からでしょうか、「焙煎機はどこにあるの?」聞かれたので、美味しそうなバームクーヘンをいただいたこともあり、焙煎作業用“うさぎ”小屋に案内いたしました。
これは国産の機械です、これが生豆ですと説明していたら、「やっぱりこういったものは、気温とか湿度とかに合わせて焙煎するの」とのご質問。
気温?湿度?
気温や湿度により焙煎作業を変えるなんて、そんなの先生教えてくれなかったよ~と恨み節、思わず涙目になってしまいました。
粘り気や硬さを手で感じ、その日の温度によりこねる時間や水分量を調整して生地を仕上げるパン屋さん。
その日の気温や湿度により、製麺やスープ作りを行い、満足いかなければ開店しない頑固親父のラーメン屋さん。
そのような話は大好きな私であり、なんとかく日本人の好きなハナシかと思います。
しかし、倉庫でおおよそ水分量12%程に管理されて届けられると教えられた生豆を、200℃まで温度を上げて生豆を焙煎するような「シンプルな作業」では、気温や湿度に気を配るよりも、他にチェックしなければならないことがあると感じております。
投入温度、1ハゼの時間、排出から、ブレンドの考察、どうやったら鮮度の良い豆状態でお買い上げいただけるか。
(とはいえ、全てはカップで判断すべきとの先生の教えとおり、焙煎担当の妻は作業中の微調整は常にしています)
とある人曰く、「気温や湿度を前提とした焙煎とは、勘による焙煎に他ならない」。
変数を多くすることを演出し、勘だ、経験だ、頑固オヤジだと言っているようでは、論理的に分析し技術を高め、さらには経営まで学ぶという「マイスター制度」を掲げるドイツのモノづくりにおいて、しかも決して一朝一夕でなく、長い年数をかけてブランディグしたような、あのような工業製品はできないのではないでしょうか、と偉そうに語り、指さした方向に止まっていたのは、お客様のメルセデスSクラスクーペ…。
あくまでも、理論的な、ドラゴン桜的な(?)思考の必要性の気づきをいただいた瞬間でした。
帝国ホテルのホームページを確認したら、「アラビア種を100%使用した…」から始まる説明に、なんとなく少し安心。
ちなみに、帝国ホテルのコーヒーを飲むか、飲まないかと問われたら、死ぬまでに必ず飲んでみたい、あそこの空間で!
ダンディで気さくなお客様にコーヒー豆をお買い上げいただいて、右ハンドルのベンツもお持ちでは無いですか、次回妻と東京をドライブしたいのですが…と恐る恐る聞いてみたら、「ヤナセに聞いてあげる」とのこと。
言ってみるものです(笑)。
感謝しながらも、コロナ明けの東京を走るなら、やっぱり私は兄貴のボロなミニでいいと思いました。