契約農園の美味しいコーヒーをどうぞ。
今日届いた生豆も、瑞々さをたたえたグットルッキングなもので、ペルーの契約農園から届いたものでした。
契約農家とのことです。
料理人が、農家さんの畑を訪れて生産者と会話をして食材を得るような話は、現在では珍しくない話かもしれません。
しかし、何しろ、貿易取引額が石油に次ぐといわれるコーヒー豆ですので、膨大であろう取引規模を想像しては、農園と契約して買うということがどのような意味を有するのか理解することができませんでした。
契約農園のコーヒー豆とは。
たまに目にする他店さんの体験記より。
原産地を訪れて、コーヒーの木をなでたり農園の土を舐めてみたりと、気候風土を体感したことを運営に活かしているという話を見ては、旅好きの私達としては、素敵な体験でうらやましいと感じます。
(絶対に行けない!と妻、虫が苦手は私もついぞ行けないと思います)
しかし、すでに多くのプロ業者の英知が結集され、流通が確立している輸入取引の現況では、そのこと自体が美味しいコーヒーをお届けすることにつながるとは思えません。
衣料品の販売で例えるなら…。
さとう衣料店では、ウエストヨークシャー州に赴き、広大なる羊の牧場にて、同い年の釜石どうぶつ病院の先生の厳しい研修を受けた担当者自ら、肛門から体温を測り丁寧に選別した健康な羊の毛のみを使用したウール素材で作った、ジャケットやニットを販売しています。
カッコよすぎる話ですが、私なら、大学の後ろの席だったユナイテッドアローズの白田君からスーツを買います。
あくまでも、希少性の高さや話の面白さは、商品の付加価値向上への訴求であり、ある程度のロット数で安定生産され流通のプロにより供給された原料を、目の届く範囲で管理して加工されたものは、食品でも衣料品でも、「普通に良い」はずなのです。
ではあらためて、契約農園のコーヒー豆を使用できるということは、どういったことなのか、です。
誰が作ったのかを知ることは、おそらく出荷から流通までよりしっかりと管理されるということでしょうから、私でもおよそ良い豆だと想像がつきます。
また、遠く離れた異国同士の契約、ましてやコーヒーという農産物を取引する契約とは、人と人との強い結びつきや品質への情熱が前提であることは、容易に理解できます。
しかしながら、契約農園のコーヒーだから他に比べて美味しい、ということは、おかげさまで現在すでに良質の豆を使用できているためか、今の私たちの能力では、確認できません。
つまり、弊店が契約農家のコーヒー生豆を使用するということ、これはやっぱり、商品の付加価値向上への訴求ストーリーに他ならないのであります。
がーん!
契約農家から届けられるコーヒー豆を焙煎して、故郷宮古市のお客様にお買い上げいただけるという、ストーリー。
春を待ちながらもコロナでなかなかどこにも行けない時節に、ひとり悦に入るには、なかなか素敵なストーリーです。
コーヒーの焙煎が料理だとすれば、その素材選びには常にこだわりたいと願う私たちですが、言うまでもなく知識と経験はまだまだ不足しております。
しっかりと良い生豆を仕入れて頑張ります!