震災から8年に、手を合わせたくなる月の道。

昨夜のNHKスペシャル、いろいろ考えさせられる番組でした。
津波で被災した旅館の運営に奮闘する女将さんの姿。
立派な建物に、ソファや椅子など、やたらに良いものを設えているなと思って見ていたら…。
案の定、ああやっぱり。
復興支援での宿泊客による賑わいを目の当たりにした、東京のコンサルタントの入れ知恵により、補助金を活用して立派に改装したとのこと。
この春から、猶予されていた補助金返済が始まるとのことで、従業員と一生懸命頑張る様子が映し出されていました。
水産加工会社の社長さん。
御息子さんを津波で亡くし、数か月後に奥さまも病気で他界され、涙にくれるお姿が映し出されておりました。
工場や設備を新しくして、さらなる融資を受けるために奔走しながら、起死回生を祈り、復興シーフードショーに出展するも残念ながら落選。
それでも奥さまの遺言である「工場がんばれ」の声を胸に、奮闘されるとの内容でした。
震災から8年、復興がおかしい。
まず、コンサルタント各種。
基本的に、責任を取らなくてもいいであろう稼業ですから、やりたい放題です。
(万が一成果が出なかったら、責任とって全くの無報酬で良い、という方がいたら教えてください)
震災後からこれまで、胡散臭さが漂う人を見かけてきました。
友人や隣人ならともかく、どこから来たのかわからない他人が、被災地の住民の人生や暮らしに責任を持つわけありません。
それよりは、口うるさい親戚のおじさんの言うことを聞いていた方が、まだ良いに決まっています。
旅館にも、多くのコンサルタントが来たそうですが、彼らにどのくらいの無駄なお金が動いたのでしょう。
また、補助金があるからと多額の借金をさせた、県や国と金融機関による責任はいかがなものでしょうか。
番組では、追加融資に向けて、開発された新商品を試食していましたが、そんなの金融機関の担当者や企業診断士にわかるわけないでしょう。
ないんです。あるわけない。
テレビ番組では、新商品コンテストの様子も映し出されていました。
有名シェフはとりあえず良いとして、他の審査員は誰なのか、県か市かどこの部署なのか、スーツ姿のこぎれいな服の方ばかりで、嫌な予感…。
このような審査会には、飲食店関係者も選抜し、さらには食道楽の食いしん坊や、グルメ女子3人組あたりに審査してもらうべきでしょう。
コンテストでは、上位の数社がめでたく銀座のアンテナショップへ出店できるとのことでした。
そんなの、最低限の参加資格があり、商品としての最低ラインをクリアした企業の商品は、全部持っていって試しに売ってみればいいじゃないですか。
東京や都市部に住むもの好きの人の嗜好や、望郷への懐かしい心理による購入なんて、コンサルタント稼業に読めるわけがない。
もちろん、融資担当者が、リアカーでも引っぱって半纏着て販売を手伝うぐらいの気持ちが欲しい。
日曜劇場なら、そんなシーンがありそうです。
なお、「最優秀賞は、〇〇社の▲▲です!」の瞬間に、有名シェフが受賞者のほうに向かって、指差して満面の笑顔。
、、、なるほどそうか、おおよそ顔見知りか。

あの宿に、団体客が来た!やったー!
うれしくも手に汗握って見ていたら、女将の被災体験談を聞くだけ聞いて、宿泊せずバスで帰る。
再建請負人ともてはやされて被災地入りし、復活に向けて一緒にがんばろう!と誓ったはずのコンサルタント。
あろうことか、県の復興関連担当者として引き抜かれ、「それでも私のこの宿への思いは真剣です。週に数回はやりとりして、フォローしますから」と嘯き去る姿に、「やっぱり、今回もダメコンサルタントだったか。」とうなだれる従業員の姿。
楡周平氏の小説を地で行く番組の内容に、被災地で、規模は違えども補助金を受けながら小商いしている者のはしくれとして、悔しいやら悲しいやら。
それでも女将の、「こんな素晴らしい光景があるんだから頑張ろう」と夜の海を眺める姿に、涙がこみあげました。
小説のタイトルは「月の道」で決まりです。
あの女将さんの、ほんわかとした素敵な雰囲気なら、新鮮で盛りのいい海鮮料理と震災話を体験できる民宿で良かったのではないでしょうか。
水産加工会社さんの新商品「わかめチップス」、パリパリ割って、有機野菜のサラダにかけたら美味しいでしょう。
震災で涙を流し、復興の名のもとにさらに厳しい現況に涙しつづける人のお姿。
実のないコンサルタントというものに身をゆだねてしまうことの恐ろしさを学び、復興請負人などといった人種の軽やかなフットワークに感銘を受けました。
震災から8年、いまだ心穏やかに過ごすことなどできないと感じたテレビ番組でした。
